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松脂採取方法の検討

松脂採取方法の検討

林業研究室だより

1 はじめに

  松脂は、印刷インキ、接着剤、はんだ、塗料等多岐に亘る分野で使用され、国内での消費量も7万トンを超えています。かつては、松脂生産は本県が全国一位のこともありましたが、現在は、その殆どを、海外からの輸入に依存しています。

2 松脂採取方法

  現在の松脂採取方法は、マツ類樹木の樹幹表面に刃物で斜めに溝を切り込み、流出してきた松脂を容器に集めるという方法です(図1)。しかし、この方法だと、一定量流出した後は、松脂が硬化し流出が止まってしまうため、頻繁に採取現場に出向かなければならないほか、夾雑物が混入するという欠点があります。さらに、形成層に損傷を与えるため、成長量が落ちる、という問題もあります。そこで、これらの課題を改善するため、新たな松脂採取方法を検討しました。

松脂採取方法

      図1  松脂採取方法

  今回試作した採取器具は、径13~19mmのステンレスパイプと試験管(又は三角フラスコ)を組み合わせたものです。樹木への設置は、まず樹幹表面にハンドドリルで斜め上方向に、深さ7センチメートル、径7~12mmの孔を開け、ステンレスパイプを挿入した後、出口部に試験管を取り付けました。この方法では、流出してきた松脂が、直接、採取容器に入るため、夾雑物の混入を防ぐことができます。また、樹幹に小さな孔を開けるだけですから、形成層を損傷することもありません。

  この採取器具を2014年8月に、岡山県森林研究所内の抵抗性アカマツ(6本、樹高5~10メートル、胸高直径7~10センチメートル)及び(国研)林木育種センター関西育種場内のダイオウショウ(1本、樹高22メートル、胸高直径58センチメートル)に、それぞれ設置し、松脂採取量を計測しました。

改良松脂採取方法

        図2  改良松脂採取方法

3 松脂採取結果

  採取量は、同じ抵抗性アカマツでも、個体により大きな差がみられたほか、同じ個体でも採取部位により採取量が9倍以上になることもありました(図3)。

部位別松脂採取量
     図3  部位別松脂採取量(抵抗性アカマツ)

  また殆どの個体が、取り付け後、約1日経過すると流出が停止していました(図3)。

  一方、ダイオウショウは、1回の採取量が、85ミリリットルを超えたことがあったほか、流出期間も二~三日以上という状況が多々ありました(図4)。

                       部位別松脂採取量(ダイオウショウ) 

             図4 部位別松脂採取量 (ダイオウショウ)

 

4 おわりに
  今後、継続的な採取を目的に硬化抑制用試薬注入などの新たな方法を検討するとともに、採取に適した個体の選抜等も検討し、松脂の効率的な生産に結びつけたいと考えています。