ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

柿渋を用いた内装用木材の着色

柿渋を用いた内装用木材の着色

木材加工研究室だより

1 木材を着色する意義

  当研究室では以前、ヒノキ内装用板材を天然塗料(柿渋)により4種類に着色した内装モデルを作製し一般県民を対象に印象評価を行いました。その結果、着色によりヒノキの色の明るさを低下させると、無塗装の「繊細な・すっきりした」といった視覚的な印象が、「重厚な・深みのある」印象へ変化することが分かりました。つまり、ヒノキの本来の風合いを採用し難い空間でも、着色することで採用し得ることを示しています。

  一方で、「落ち着く・好ましい」といった印象は、着色による色の変化とは関係なく、消費者の個人的な色の好みに影響を受けていました。つまり、ヒノキ本来の色合いを好まない消費者も存在するものの、着色することで採用され得ることを示しています。 このように、内装用木材を着色することは、多様なニーズに対応し、需要拡大を図るための有効な手法の一つであると言えます
柿渋で着色した木材サンプル

2 柿渋とは?
柿渋は、渋柿の未熟果を絞った果汁を発酵させて作られるもので、その歴史は古く、平安中期には、漁網・釣り糸・布・紙の耐水、耐久性向上を目的とした染料として、すでに利用されていました。江戸時代に入ると製造業者が現れ、樽・桶、柱・壁の保護塗料の他、清酒やみりんの清澄剤など、食品分野へも利用され始めました。

  これらの利用方法は、柿渋に含まれる、カキタンニンと呼ばれる高分子ポリフェノール(図1)の機能性を活用したものです。つまり、カキタンニンはその分子構造により、セルロースの物理的な補強やタンパク質凝集など様々な作用を発現する物質なのです

 カキタンニン推定構造図

図1 カキタンニン推定構造図

3 柿渋塗装内装材の実用化

  人と環境に優しい天然塗料を用い、無垢内装材の印象を変化させるだけでなく、室内環境改善機能を付与することを目的に、柿渋塗装内装材の開発を行いました。
  柿渋は本来、茶褐色ですが、草木染めに用いられる媒染技術や他の植物染料を併用し、様々な色合いを出す塗装レシピを確立しました。これにより、スギやヒノキを用いて様々な室内様式にマッチする色合いの内装材が製造出来ます。
  また、カキタンニンの有する機能の一つである吸着性に着目し、柿渋塗装内装材のガス吸着性能を調査しました。悪臭の原因物質であるアンモニアガスの吸着試験を行ったところ、図2に示すとおり、柿渋塗装した(ヒノキ)内装材が、無塗装材に比較し、より多くのアンモニアを吸着し、その後の再放散量も少ない結果が得られました。  
  また、一般的には塗装をすると、木材本来の調湿(吸放湿)性能は低下する場合が多いのですが、柿渋塗装内装材の吸放湿性能は、無垢内装材と同等であることも分かりました。

柿渋塗装内装材のアンモニア吸着性能

図2  柿渋塗装内装材のアンモニア吸着性能

一般住宅に使われた柿渋内装材

一般住宅に使われたカキ渋内装材(濃色仕上げ)

一般住宅に使われた柿渋内装材
岡山空港国際線ロビーの柿渋内装材
岡山空港国際線の到着ロビーに使われたカキ渋内装材(淡色仕上げ)