気仙沼市台の下遺跡の調査開始                   

文/宮城県教育委員会 米田 克彦

   

 東北で梅雨が明けた7月末、宮城県沿岸部の北東端に位置する気仙沼市唐桑町で、台の下〈だいのした〉遺跡(\区)の発掘調査が始まりました。この調査は東日本大震災で甚大な被害を受けた唐桑町大沢地区の漁業集落防災機能強化事業の集会所建設に先立つもので、気仙沼市教育委員会が主体となり、宮城県教育委員会が調査支援しています。担当調査員は気仙沼市1名(鹿児島県からの派遣)、宮城県2名(うち岡山県からの派遣1名)の計3名で、気仙沼復興協会の発掘作業員さんたちとともに酷暑のなか効率的な調査に努めています。

台の下遺跡の位置図
台の下遺跡の位置図
波怒棄館遺跡から見た調査地
波怒棄館遺跡から見た調査地

 台の下遺跡は三陸リアス式海岸の唐桑半島の北西側、広田湾を見下ろす標高40mほどの丘陵上に立地します。遺跡周辺には調査地から南東約220mのところに台の下貝塚、南東約450mのところに波怒棄館〈はぬきだて〉遺跡が近隣しており、台の下遺跡を含むこれらの遺跡は、平成24〜26年度に防災集団移転に伴って相次いで発掘調査が行われました。波怒棄館遺跡ではマグロ漁を営んだ縄文時代前期の集落跡、台の下遺跡(T〜[区)では縄文時代中期〜晩期、平安時代の集落跡と江戸時代の墓地、台の下貝塚では縄文時代後期の貝塚が見つかるなど、貴重な発見が続き県内外で話題となりました。
 かつて波怒棄館遺跡や台の下遺跡(T〜[区)があった場所には、発掘調査が終了してから2〜3年の間に防災集団移転によって高台に建てられた住宅が軒を連ね、調査地周辺では広田湾や青野沢川の災害復旧工事、三陸沿岸道路の建設が急ピッチで進んでおり、海と山に囲まれた美しい景観が変わりながらも着実に復興していく様子がうかがえます。


台の下遺跡の近景
台の下遺跡の近景
台の下遺跡の調査風景"
台の下遺跡の調査風景

 平成25・26年度に行われた台の下遺跡(T〜[区)と台の下貝塚の発掘調査では、丘陵の頂部北側で住居群、中央北寄りと南側で貯蔵穴群、丘陵南裾で貝塚が見つかり、縄文時代の集落跡の様子がしだいに分かってきました。今回の調査地(\区)は台の下遺跡の中央南寄りにあたり、平成25・26年度の調査地(T・U・W区)に隣接します。発掘調査は始まったばかりですが、丘陵頂部や西向きの斜面で縄文時代の遺構や遺物が見つかりつつあり、調査の進展によって縄文時代の集落跡の様子がさらに具体的に明らかになることが期待されます。



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