文様の「見えにくさ」の理由とは?

 皆さん、もう神明銅鐸を御覧いただけたでしょうか。文様が非常に見えにくかったと思いますが、これはただ単にサビや泥が取り切れなかったためだけではありません。この「見えにくさ」には二つの大きな理由が考えられます。一つ目は石の鋳型で作られたこと、二つ目は使用によってすり減った可能性です。
 初めのころの銅鐸は石の鋳型を用いて作られていましたが、扁平鈕式〈へんぺいちゅうしき〉の途中で土の鋳型に替わります。神明銅鐸の割れ口を見ると、金属内部にたくさんの気泡が入っています。これが石の鋳型で作られた証拠だそうです。石の鋳型では文様の掘り込みが浅くなり、鋳上がった文様も平坦になります。神明銅鐸の文様は、元々不鮮明だった可能性があるのです。
 さて、古い段階の銅鐸は実際に音を鳴らして使われていました。いわゆる「聞く銅鐸」です。この音の鳴る仕組みは、銅鐸内部に「舌〈ぜつ〉」をヒモで吊して、銅鐸裾部内面に巡らしている「内面突帯〈ないめんとったい〉」と打ち合わせて鳴らすのですが、本来カマボコ形の断面をしている内面突帯のてっぺんが平らな台形になっており、舌が当たってへこんだ=使い減りしたと推測されます。同様に、表面の文様も、長く使われている間にすり減ったのかもしれません。
 この後、11月13日(金)〜12月23日(水)まで岡山県立博物館で開催される「発掘された日本列島2015」に展示します。その後、さらなる調査・分析のため、再度奈良文化財研究所へ預ける予定にしています。
 

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