第6回  クロガネの鈴−小池谷1号墳〈こいけだにいちごうふん〉−

 平成14年、黒土地区を見渡せる丘の上で、鉛筆キャップのような形をした奇妙な金具がたくさん掘りだされました。見つかったのは小池谷1号墳という6世紀前半に築かれた円墳で、中央に掘られた墓穴に首飾りの玉や刀、鏃〈やじり〉、鉄鎚〈かなづち〉などとともに納められていたのです。
 鉄鐸〈てつたく〉と呼ばれるこの金具は鉄板を円錐形に折り曲げたもので、内部には針金が吊り下げられ鈴のように使われたようですが、15点もまとまって見つかった例はほかになく、当時はジャラジャラとにぎやかな音を響かせていたのかも知れません。
 また一緒に出土した鉄鎚は鉄を打ち延ばしたり折り曲げたりするのに使われたようで、5世紀後半に築かれた津山市西吉田北1号墳でも鉄をはさんで固定する鉄鉗〈かなはし〉や切断加工する鏨〈たがね〉が鉄鐸とともに見つかっていることから、鍛冶にたずさわる人々との深い繋がりがうかがわれます。
 鍛冶は渡来人によって伝えられた当時最先端の技術であり、鉄鐸も彼らが持ち込んだ祀り〈まつり〉の道具だったようです。
 このようにこの地域では、製鉄が本格的にはじまる100年以上も前から、鉄づくりにかかわった人々の足跡をたどることができるのです。
鉄鐸
赤磐市土井遺跡の鉄鐸

*『広報しょうおう』2011.10月号掲載記事を一部改変して転載


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