第14回 豊作を祈るカネ−念仏塚銅鐸〈ねんぶつづかどうたく〉−

  私たちは祈りを捧〈ささ〉げる時、願いが聞き届けられるようにとカネを鳴らしますが、今からおよそ2,000前の人々が鳴らしたカネが、植月北の念仏塚という畑から見つかっています。
 青く錆〈さ〉びたそのカネは、高さ30pほどの、前後にひしゃげた円筒形をしていて、上にはアーチ形をした平たい吊〈(つ〉り手が付いています。偶然に見つかったため、どのように埋まっていたのかはっきりしませんが、欠けている側を上向きに横たえられていたのかも知れません。
 銅鐸〈どうたく〉と呼ばれるこのカネは、弥生時代の人々が豊作を祈るマツリに使用した楽器と考えられています。しかし、金色に輝く銅鐸はやがて神の依〈よ〉りしろとして扱われるようになり、ついには1mを超える大きなものまでつくられました。
 念仏塚で見つかった銅鐸は、楽器として使われていたころのもので、中・四国地方で出土した銅鐸の中では最も古いものの1つです。山あいの地であるにもかかわらず、当時はやり始めたマツリの道具をいち早く手に入れ、豊作を祈った人々の想いの深さが偲ばれます。
 現在この銅鐸は、中国山地に残る唯一の銅鐸として津山市の重要文化財に指定されており、その音色を確かめることはできません。しかし、たとえ私たちにはうつろに聞こえる響〈ひび〉きでも、金属が身近でなかった当時の人々にとっては深遠な神の世界へといざなう音色であったに違いありません。
念仏塚の銅鐸
念仏塚の銅鐸

*『広報しょうおう』2012.6月号掲載記事を一部改変して転載


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