センタートップ > 鬼ノ城トップ > 調査員便り平成19年1−3月号 

 このコーナーは、現場の調査員(平成18年度はM・O・Iの3人組!)からのホットな情報をお届けします。
 この便りから現場の様子、発掘の状況、作業員さんとのふれあい、季節の移り変わりなどを感じてみてくださいね。

<平成18年1−3号>

 2007年3月12日(月曜日)

本年度のラストを飾る!

動画撮影の様子

 今日は、この「調査員便り」とともにホームページ『甦る!古代吉備の国〜謎の鬼ノ城』の1コーナーである「鬼ノ城動画」の最終集録がありました。
 昨年7月、鬼ノ城の城内調査開始にあたり、鬼ノ城の様子を少しでも皆様にお伝えしようと、当センターホームページに鬼ノ城のページを開設しました。この日記風「調査員便り」も「鬼ノ城動画」も、当センターとして初めて導入しました。その動画の収録も今年度最後、しかも今年度の調査成果を語るということで、感慨も深く、緊張でいっぱいでした(仲間からは全然ふつう?と言われましたが・・・)。
 ご覧いただきました皆様、いかがでしたでしょうか?お楽しみいただけたでしょうか?来年度もさらにパワーアップして、鬼ノ城の様子や発掘の成果をお伝えしたいと思います。ぜひお楽しみに!(M)

 2007年2月27日(火曜日)

時を経て今再び!

漆が付着した須恵器

 復元の様子については、昨日お話ししましたが、もう1つ紹介します。復元作業では、7年前の調査で出土した土器と、今回出土した土器が接合するかどうかも調べています。
 その結果、接合する例もかなり見られました。考えてみれば、前回の調査と近接する箇所を発掘調査したのですから、当たり前と言えば当たり前なのですが・・・。
 しかし、何年前に離ればなれになったかはわかりませんが、時を経て、今再びくっついたのですから、なかなか感動ものです。写真は左が前回、右が今回出土したもので、いずれも当時の貴重品である漆が付着していました。「やあ、お久しぶり!」の声が聞こえてきます。(I)

 2007年2月26日(月曜日)

あの土器は今・・・

須恵器甕

 調査員便りでは、須恵器の甕(8月28日)や高杯(11月6日)が出土した様子をお伝えしてきました。2月も終わりに近づき、これらの土器は写真のように接合できました。破片の見つからなかった部分には石膏を入れます。
 こうした復元作業をしていると、出土した瞬間が思い出され、少しずつ元の形になっていくにつれ、当時の使っている様子が想像されます。毎日の復元の進み具合が楽しみです。(I)須恵器高杯

 2007年2月14日(水曜日)

森林環境教室開講

植樹の様子

 今日は、鬼ノ城を西にひと山超えたふもとにある総社市立池田小学校の6年生8人が、調査現場跡地を訪れました。彼らの先輩が拾って育てたドングリの苗木を植樹してくれたのです。
 校長先生や担任の先生といっしょに、穴を掘っては1本ずつ大事に植え込み、そっと土をかぶせてしまいました。その様子を私たちもほほえましく見させていただきました。天気講義の様子予報は最悪だったのですが、みんなの思いが通じ、植樹の間は雨もやんでくれました。
 植樹を終えて、ビジターセンターで備中県民局森林課の方から地球環境の仕組みや森林の働き、林業の役割・原状などのお話がありました。続いて私たちから歴史の舞台としての鬼ノ城や発掘調査成果についてお話させていただきました。子どもたちはみんな熱心に聞いてくれました。
 皆さん、今日はエコロジーとヒストリーを、鬼ノ城という場所で同時に学びましたね。郷土の自然と歴史に誇りをもって大事にしていってくださいね。(O)

 2007年2月7日(水曜日)

トレースの日々

トレース>
<P class= 現場で作成した鉛筆書きの図面は、報告書に載せるため清書する必要があります。これがトレースで、一定の太さでなめらなかに線を引かなければなりません。トレース台に白い手袋をはめて向かい、トレース用の特殊なペンを使って描いていきます。
 それなりの図を作成するには、かなりの習熟が必要です。完成間際になって、手が震えて波線になってしまったり、インクが出過ぎて垂れてしまったり・・・などの失敗をしてしまうこともあります。ちょっとした失敗なら、カッターで削ったり、修正液を塗るワザもありますが、そうした補修なくうまくトレースできたときは、思わず笑みが浮かんできます。(I)

 2007年1月30日(火曜日)

久々に鬼ノ城へ・・・植栽!

植栽

 鬼ノ城の調査地は、昨年末の現地調査中に埋め戻しを完了したことはお伝えしたとおりです。調査の痕跡はすっかり姿を消し、木漏れ日が地面を照らす森の様相となっていました。
 本日、私たち調査第一課の面々で、久しぶりに調査地に赴きました。調査のために切ってしまった木々の補充を行うためです。マツやナラ・カシの苗木を約100本、手分けをしながら植栽しました。早く大きくなれー。(O)

 2007年1月29日(月曜日)

センター公開デー

公開デー

 今日は、当センター「公開デー」です。通常は、1階にある展示室のみを公開しており、他は非公開なのです。小学生の見学、中学生の職場体験、考古学入門講座等で一部見られた方もいますが、一般公開は初めてです。考古学ファンはもちろん、地域の方々や学校の先生など予想を超える92名の方がお越しになりました。
 特別収蔵庫(お宝?も登場!?)、収蔵庫、木器や鉄器の処理室、復元室、撮影室と、県下埋蔵文化財の保護・保存の拠点施設をご案内しました。平日ということで、作業の様子も見ていただきました。ちょうど復元室では、鬼ノ城で出土した土器の復元中で、破片あり、少し形になってきた土器ありと、皆さん興味深くご覧になりました。(M)

 2007年1月24日(水曜日)

ジグソーパズルより難しい「復元作業」

復元作業

 ジグソーパズルは、ピースが全部そろっていますし、完成図もちゃんとついていますよね。しかし、土器の復元では全部そろっているとは限らず、完成図は頭の中に自分で想定して行わなければなりません。半日かけて1コだけつながった、などということもあり根気のいる仕事です。足らない部分は石膏などで補い、より完全な形に近づけて保管したり、展示したりすることもあります。
 「復元」の前に、実は「注記」という作業があります。土器片1つ1つに出土遺跡、出土場所などを記入していくのですが、これも根気のいる作業です。復元されて展示されている土器を見ると、相当な苦労を経てそこにあることをぜひ感じて下さいね。(O)

 2007年1月16日(火曜日)

見つかった遺物のその後は?

収蔵庫で保管

 城内調査大公開などでお見せするため、一部の土器は洗って復元もしていましたが、大部分はこれからです。出土した遺物の今後のことについて少し紹介しましょう。
 出土した土器は「洗浄→注記→復元→実測・写真撮影」という過程を経て、最終的には収蔵庫で保管されます(一部は展示されることもあります)。そして、作成された整理番号と照合して、どこにあるかを管理し、必要なときにすぐ取り出すことができるようにしています。
 復元された遺物のうち、形のよく残っているものなどは、改めて写真撮影し、遺構や出土状況など現場で撮影した写真とともに報告書に掲載されます。もちろん、報告書に掲載されずに、ずっと収蔵庫に眠り続ける土器も多いのですが、1つ1つの土器片が私たちに何かを語りかける貴重なものであることは忘れてはいけません。(O)

 2007年1月9日(火曜日)

調査成果をまとめてみました!

 昨年末で現場の発掘調査を終え、年明けより出土遺物や記録した図面・写真の整理を行っています。今年度中に、これらの整理を終え、調査成果を再検討し、初年度の調査で解明できたことと今後の課題を明確にしていきたいと考えています。
 そこで、現時点の成果の概要をまとめてみます。

1.掘立柱建物を構成する複数の柱穴が見つかった。
2.その柱穴は、一辺約80cmの方形のものと、直径50〜60cmの円形のものがあり、建て替えがあったと考えられる。
3.建物を区画する石列も見つかり、尾根の頂部に建物を建てるための平坦面を造成したあとが確認出来た。
4.これらの建物に伴い使用されたと考えられる7世紀後半から8世紀初頭の須恵器・土師器が斜面で見つかり、築城時期と城の存続時間を考える資料となった。杯・高杯・壺・甕・鍋などの食器・貯蔵具・調理具などから城内の生活をうかがうことができた。
5.中でも円面硯の出土は、日常的に文字を必要とする人々の居住を物語る。彼ら官人たちは、文字によって築城工事や城の管理記録を残していた可能性などが十分考えられる。
6.残念ながら文字が記された出土品(木簡・墨書土器等)は見つからなかった。

 出土品や記録した図面・写真などを整理する過程で、また新たな発見があるかもしれませんし、来年度以降の調査成果とあわせることで解明できることもあるでしょう。調査はまだまだ続きます。(O)