このコーナーは、現場の調査員(H19年度はM・O・Iの3人組!)からのホットな情報をお届けします。  
 この便りから現場の様子、発掘の状況、作業員さんとのふれあい、季節の移り変わりなどを感じてみてくださいね。

<平成19年10月号>

 2007年10月27日(土曜日)

秋の鬼ノ城を満喫

東門の見学

 今日は、今年初めての試みとなる「鬼ノ城うぉーく」を開催しました。発掘調査現場だけでなく、遊歩道を巡りながら西門や角楼などの施設を見学したり、植物を観察したりして、鬼ノ城の歴史と自然を実感しよう!というイベントです。
 何しろ初めてのことですから、調査員も最初は話が続くかどうか心配でした。でも、熱心な参加者の方々との雑談は尽きることなく、予定の3時間はあっという間に過ぎていきました。皆さんには、城壁沿いの敷石を踏みしめ、眼下の絶景を眺めながら、いにしえに思いを馳せていただけたことと思います。(O)

 2007年10月26日(金曜日)

これぞ秋の桜

リンボクの白い花

 今朝、鬼ノ城の駐車場へと車で向かっていると、道ばたに見慣れない白い花を見つけました。周辺では紅葉が始まっているというのに、今ごろ花とは一体何だろうと思ったら、バラ科サクラ属の「リンボク」という木でした。桜の仲間なのに、常緑樹で秋に花を咲かせるという変わり者です。つやのある深緑色の葉といい、ブラシのように集まって咲く花といい、見た目にはとても桜とは思えないですね。
 「秋桜」といえば一般にはコスモスの別名ですが、リンボクこそが「植物学的に正しい」秋桜といえます。いささか知名度が低いので、こちらもよろしくお見知りおきを。

 2007年10月25日(木曜日)

新たな調査区へ

伐採作業の様子

 今日からいよいよ、今年度最後となる5か所目の調査区に着手しました。ここでは、以前から地表に礎石らしき大きな石が露出していて、新たな建物の発見が期待されています。
 まずは例によって木の伐採から。気候も涼しくなって、前回よりはずいぶんと楽になりました。伐採した木を片づけ、下生えのシダを刈り取ると、斜面に転がる巨石が何個も現れました。この下から一体どんな建物が出てくるのでしょうか。その答えは掘ってからのお楽しみ。(O)

 2007年10月22日(月曜日)

最後の一石

調査中の礎石

 大公開の時にも見ていただいた大形礎石建物ですが、これまで調査区の外だった東端の礎石がようやく出てきました。これで、建物の規格は6間×2間、規模は東西約17.6m、南北約6.5mとめでたく決着しました。土嚢を移動して掘り広げた甲斐があったというものです。作業員の皆さん、お疲れ様でした!(ここで建物が終わってやれやれ、というのが本音)。少し見えにくいですが、奥に向かって7つの礎石がずらっと並んでいて、現場で眺めるとなかなか壮観です。(O)

 2007年10月19日(金曜日)

小学生の発掘体験

岩に刻まれた千手観音

 今日は、鬼ノ城のふもとにある阿曽(あぞ)小学校の6年生の皆さんが現場体験に来てくれました。生徒さんには、現場での発掘体験、測量機械の操作体験、出土遺物の説明の3本立てで、鬼ノ城の調査成果と現場の雰囲気に触れていただきました。
 「鬼ノ城に来たことのある人は?」と尋ねると、一斉に「ハーイ!」と元気な返事。さすが地元だけあって、鬼ノ城はもうすっかりお馴染みのようです。でも、初めて触れる発掘現場や出土品はとても新鮮だったようで、ユニークな質問も次々に飛び出して調査員もてんてこ舞い。今回の現場体験を通じて、もっともっと鬼ノ城が好きになってくれたかな?(O)

 2007年10月12日(金曜日)

鬼ノ城から世界へ

岩に刻まれた千手観音

 第3水門と第4水門の中間あたりの遊歩道沿いに、巨岩に刻まれた仏像があります。その名を「千手観音」といって、両脇から伸びる無数の手で、あらゆる人々を救うとされています。
 この像は鬼ノ城よりもずっと後の、江戸時代の作品です。鬼ノ城の廃絶後、周辺一帯は山岳仏教の聖地となり、寺院の建物がいくつも建立されました。さらに降って江戸時代になると、城壁沿いに観音像が祀られ、巡礼の場となっています。仏像の多くは明治時代に麓へ降ろされ、この仏像だけが当時の雰囲気を今に伝えています。
 かつての軍事施設の跡に、静かにたたずむ観音像。その姿は、鬼ノ城から広く世界に向かって、平和の尊さを訴えかけているようにも見えます。

 2007年10月11日(木曜日)

土嚢ピラミッドの移築作業

土嚢の移動作業

 今回見つかった礎石建物の東端が、調査区の外まで伸びていることが判明し、調査区の拡張を行うことにしました。しかし、掘るべき場所には、白銀に輝く土嚢ピラミッドが威容を誇っています。
 鬼ノ城では、掘り下げ作業はすべて人力で行い、調査後に埋め戻すため掘った土は土嚢に詰めて調査区の脇に積み上げています。自分たちで「構築」したものとはいえ、これを動かさないことには調査ができません。かくして、作業員さん総出の移築プロジェクトが始動しました。うずたかく積み上げた土嚢をせっせと頂上から切り崩し、隣に新たなピラミッドが築かれていきます。この下から建物の端がきちんと出てくれば、苦労も少しは報われるかな?(O)

 2007年10月5日(金曜日)

大きく背のーび!

準備体操の様子

 一日の始まりは準備体操から。鬼ノ城では、ラジオ体操などを調査員がアレンジした「鬼ノ城体操」を毎朝みんなで行います。3か月が過ぎてもう順番も覚えたかな?。朝晩めっきり涼しい今日この頃、和らいだ朝日を浴びながら思いっきり背伸びすると、引きずっていた眠気も吹き飛んで身の引き締まる思いです。心身ともにシャキッとしたら、いざ現場に出動だ!(O)

 2007年10月3日(水曜日)

見える?見えない?

見つかった柱穴

 現場でよくある質問に「どうして穴の位置や形がわかるの?」というのがあります。その答えがこの写真。真ん中に色の濃い部分が丸く見えますね。つまり、穴の中に埋まった土は周囲と色や質感が違うので、こういうふうに区別できるわけです。これなら納得!?  もっともこれはかなり分かりやすい方です。穴が地面とほとんど同じ色だったり、たくさんの穴が複雑に切り合っていたりすると、調査員も大いに苦労します。何度も表面を削っては線を引き直し、作業員さんに「どこまで掘るの?」と聞かれるたびにビクッとします。やはり掘るならこういう単純な穴がいいなあ。(O)

 2007年10月1日(月曜日)

我が輩は蛇ではない

ニホンカナヘビ

 昼休みに散歩中、足元の落ち葉がカサカサと音を立て、目を向けると体長20cmほどのかわいらしいトカゲがじっとしていました。もっとよく見ようと近づくと、たちまち落ち葉の中に逃げ込んでしまいました。人の気配に敏感で動きも素早く、なかなか写真を撮らせてくれないシャイなトカゲさん。茶色い体も、落ち葉の上では見事な保護色です。
 そのトカゲの名はニホンカナヘビ。名前の通り日本固有種です。れっきとしたトカゲなのにどうして「ヘビ」なのかいまだに謎ですが、他のトカゲ類に比べてスマートな体形がヘビを連想させたのかも。(O)