その4 (平成31年3月22日更新)

 11月から桑山〈くわやま〉古墳群の調査に着手していますが、そのうち2号墳の全容が明らかになってきました。2号墳は、6世紀中頃の直径約12mの円墳で、周囲を幅約3mの周溝〈しゅうこう〉がめぐっており(写真1)、その中から埴輪などが出土しています(写真2)。
 埋葬施設は岡山県北部で最古級の横穴式石室になります(写真3)。石室の上部は大きく壊れていましたが、床面は完全に残っており、武器や馬具、須恵器など多くの副葬品が出土しました。柄〈つか〉の先に環状の飾りを付けた環頭大刀〈かんとうたち〉(写真4)や金で飾られた馬具など優れた品があり、横穴式石室をいち早く取り入れた、地域の有力者が葬られた古墳でしょう。
 桑山古墳群には4基の古墳があり、2号墳以外の1・3・4号墳は4月以降に調査する予定です。
 

調査風景 埴輪片
写真1 桑山2号墳調査風景 写真2 周溝から出土した埴輪片
横穴式石室 環頭大刀と須恵器の出土状況
写真3 横穴式石室 写真4 環頭大刀・須恵器の出土状況

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 その3 (平成31年1月28日更新)

 4月から調査していた細畝〈ほそうね〉古墳群の調査が終了しました。幅の狭い尾根上に隣接して3基が築かれていたこの古墳群(写真1)は、いずれも全長5〜6mの横穴式石室をもつ古墳で、その石室内からは須恵器・土師器などの土器、耳環や碧玉〈へきぎょく〉製勾玉〈まがたま〉・管玉〈くだたま〉・水晶製切子玉〈きりこだま〉・ガラス小玉などの装身具、鉄鏃や馬具などの鉄製品が副葬されていました。  
 このうち、6世紀末から7世紀前半に造られた1号墳は、後世に床面近くまで堀り乱されていましたが、板石を箱状に組み合わせて作られた箱式石棺と土製の棺である陶棺が見つかっています。興味深いのは陶棺が埋葬されていた位置(写真2)で、石室の主軸に対して斜めに配置されていました。箱式石棺の隣に陶棺を置けるだけの空間があったにもかかわらず、箱式石棺と奥壁の間のスペースへ強引に突っ込んで置いた理由を、皆さんも考えてみませんか?

古墳群遠景
写真1 古墳群遠景(南上空から) 
石棺と陶棺の配置 陶棺模式図
写真2 石棺と陶棺の配置(北東から)
青の範囲:陶棺が置かれていた場所。
右の図の赤枠で囲った円筒形の脚のみ
が埋葬時の位置で検出されています。
陶棺模式図

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 その2 (平成30年10月25日更新)

 桑山南1号墳の北西に位置する2号墳は、1号墳よりもやや古い6世紀中ごろに築かれた直径約9mの円墳です。発掘当初、墳頂部に多くの石が散乱していたことから、埋葬施設は盗掘によって破壊されていると考えていました(写真1)。しかし、掘り進めていくうちに、残りの良い状態で竪穴式石室が見つかりました(写真2)。
 石室の規模は長さ2.1m、幅50p、深さ60pで、床面には直径2〜5pほどの円礫が敷かれていました(写真3)。棺の跡はなく、石室に直接遺体を安置していたと考えられます。
 石室内からは副葬品として、須恵器や鉄製の鏃〈やじり〉・刀子〈とうす〉などのほか、被葬者の頭を置いた枕の周辺からは、水晶で作られた14点の切子玉や、鉄製の鈴である鉄鐸〈てつたく〉2点が出土しました(写真4)。鉄鐸は県内でも出土例が少なく、貴重な遺物です。
 桑山南古墳群の調査は8月で終了し、9月からは細畝古墳群の本格的な調査が始まっています。今後の成果にご期待ください。

桑山南2号墳 竪穴式石室検出状況
写真1 桑山南2号墳 
墳頂部の石検出状況(南東から)
写真2 竪穴式石室の検出状況
(南東から)
石室内部の遺物出土状況 切子玉と鉄鐸
写真3 石室内部の
遺物出土状況(南東から)
写真4 切子玉と鉄鐸(南から)

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 その1 (平成30年6月21日更新)

 一般国道53号津山南道路改築工事に伴い、昨年度に引き続いて4月から、桑山南古墳群の発掘調査を行っています。この古墳群は、皿川左岸の嵯峨山〈さがやま〉山塊から東方に延びる丘陵端に築造された4基の円墳からなり、群集墳〈ぐんしゅうふん〉の研究で有名な「佐良山〈さらやま〉古墳群」を構成する小群の1つにあたります。
 このうち、6世紀末〜7世紀初め頃に築かれた1号墳(直径約14m)の横穴式石室からは、陶棺〈とうかん〉が縦に2基並んで見つかりました。陶棺とは、美作地域の古墳時代の埋葬で多く用いられた土製の棺〈ひつぎ〉のことです。これらの2基は、いずれも土師質〈はじしつ〉で亀の甲羅のようなかたちをしており、その底面には多くの円筒形の脚を付けて、棺全体を支えています。石室内は盗掘を受けていましたが、数十個体の須恵器〈すえき〉や土師器〈はじき〉、鉄製の馬具・刀・鏃〈やじり〉や金銅製の耳環〈じかん〉などが出土しました。なかでも、手で振ると“カラカラ”と音が鳴る「鈴付き高杯」は、県内でも出土例が少なく貴重な遺物です。今年度は桑山南古墳群の南側の丘陵に位置する細畝古墳群の調査にも着手しており、新たな発見が期待されます。

桑山南古墳群1号墳の全景 2基の陶棺が納められた1号墳の横穴式石室の様子
桑山南古墳群1号墳の全景 2基の陶棺が納められた
1号墳の横穴式石室の様子
石室内で見つかった金銅製の耳環(耳飾り) 脚部の中に土製の鳴り玉が入っている鈴付き高杯
石室内で見つかった
金銅製の耳環(耳飾り)
脚部の中に土製の鳴り玉
が入っている鈴付き高杯

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